REALFORCE 91UG-S、R2TLS-US3-BK の2台をType-C化する

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REALFORCEはR3のハイブリッドモデルではUSB Type-Cのポートがありケーブルの着脱が可能になっていますが、有線接続のみのモデルはケーブルがREALFORCEの基板に接続されており、ケースの外から着脱を行うことはできません。現在REALFORCEが2台手元にあることもあり、ケーブルの着脱ができるようにType-C化して2台をもっと手軽に使えるようにしてみることにしました。

Type-C化に当たっての選択肢

REALFORCEのUSBケーブルは基板にJSTのコネクタ(後述)で接続されています。 そこで、Type-C化のために取れる選択肢は基本的には以下の2つになってきます。

  • 元々のケーブルのUSB-A側を切ってType-Cメスのブレークアウトボードにはんだ付けする
  • ワイヤー、コネクタ、Type-Cメスのブレークアウトボードなどを用意してType-Cメスのケーブルを1から自作する

1つ目の選択肢はJSTのコネクタ部分を自作しなくても良い分楽ではありますが、元々のケーブルを残しておきたい人には向きません。私はそう考えるタイプだったので、2つ目の、ケーブルを1から自作するという選択肢を取ることにしました。

なお、コネクタの種類次第ではAmazonやAliExpressでコネクタ部分が既に完成している極短いケーブルを入手できる場合があり、それを使用する場合はコネクタ部分の自作は不要だと思います。(ケーブルの長さが足りない場合は目的に合わせて自分で延長させる必要がありますが。)

各モデルでコネクタは異なる

私が把握している限りではREALFORCEのUSBケーブルは基板にJST製のコネクタで接続されていますが、採用されているコネクタが各モデルで異なります。

91UG-S(EHシリーズ 2.5mmピッチ 4極採用)

91UG-Sではケーブル・基板にはEHシリーズ 2.5mmピッチの4極のコネクタが採用されており、それとは別にシールド用に裸圧着端子も採用されています。

  • ケーブル側(ハウジング)は「EHR-4
  • ハウジング用の圧着端子は「SEH-001T-P0.6」「BEH-001T-P0.6
  • シールド用の裸圧着端子は「E JST 1.25-3」(丸形端子(R形)?)

配線は以下

  • 赤: +5V
  • 白: D-
  • 緑: D+
  • 黒: GND
  • 鉄板に接続されている黒: シールド

シールド以外のワイヤーにはフェライトコアが取り付けられていました。

シールド用の裸圧着端子には「E JST 1.25-3」と書かれていました。おそらく丸形端子(R形)の1.25-3系のどれかだと思いますが、ノギスが手元に無いので正確な型番は分かりません。

鉄板に固定するためのネジに合う物なら使えるとは思います。ただ、シールドに関しては結局のところシールドとREALFORCEの鉄板が繋がればそれで良いはずなので、シールドをネジで挟んで固定するなり穴に巻きつけるなりで対処すれば裸圧着端子は不要だと思います。

R2TLS-US3-BK(PHシリーズ 2mmピッチ 5極採用)

R2TLS-US3-BKではケーブル・基板にはPHシリーズ 2mmピッチの5極のコネクタが採用されています。

配線は以下

  • 赤: +5V
  • 黒: GND
  • 白: D-
  • 緑: D+
  • 青: シールド

EHシリーズ5極採用のモデルもある

以下の記事を見るに、EHシリーズの5極のコネクタ(ハウジングはEHR-5)を採用したモデルもあるようです。

コネクタの型番が分からない場合

私が確認した限りではハウジング(ケーブル側)やポスト(基板側)に型番が書かれているわけではなかったので、型番が分からない場合は形状、極数、サイズが合う物をカタログなどで調べるしか無いと思います。

EHシリーズのカタログは以下で確認できます。
https://www.jst-mfg.com/product/index.php?series=58
PHシリーズのカタログは以下で確認できます。
https://www.jst-mfg.com/product/index.php?series=199

ちなみに、EHR-5とPHR-5は同じ5極ですが、サイズと形状が異なります。以下の画像で上に置いてあるのがEHR-5、下に置いてあるのがPHR-5です(正確には私が持つPHR-5は互換品ですが、JST製の物と寸法は同じはずです)。横幅はPHR-5の方が短く、レール部分はEHR-5は溝になっていますが、PHR-5は出っ張りになっています。

用意するもの

以下のような物が必要になります。

  • 分解に必要な物(ドライバー、ピック など)
  • はんだ付けに必要なもの(はんだごて、はんだ、フラックス など)
  • シリコンワイヤー(5色分)or データ転送対応のUSB 2.0のケーブル
  • ワイヤーストリッパー(必要であれば)
  • 精密圧着ペンチ
  • 熱収縮チューブ(必要であれば)
  • USB Type-Cメス ブレークアウトボード
  • JSTのコネクタ関連(ハウジング、圧着端子)

ワイヤーは色分けした方が分かりやすいので可能であれば5色分用意してください。ワイヤーを用意できない場合はデータ転送対応のUSB 2.0のケーブルを用意してください。

ワイヤーの種類については、被覆を爪でも剥けるくらいには剥きやすいシリコンワイヤーがオススメです。ワイヤーストリッパーが無くても使えます。ワイヤーのAWGについては、EH・PHコネクタとの相性も考えて私はAWG24の物を使用しました。今回私が使用したワイヤーは以下です。

精密圧着ペンチは、私はIWISSのIWS-2820Mを使用しました。EHコネクタやPHコネクタの圧着端子に対応したものであれば何でも良いと思います。

熱収縮チューブは必要であれば用意してください。

Type-Cメスのブレークアウトボードは以下のようなものを使用しました。(以下はAmazonのリンクですが、私はAliExpressで購入しました。)

コネクタ関連は、以下を用意しました。

  • EHR-4(91UG-Sに使用)
  • BEH-001T-P0.6(91UG-Sに使用)
  • PHR-5及びPH用の圧着端子の互換品(R2TLS-US3-BKに使用)

AmazonだとJST製の物はやや高めなので、JST製の物を購入する場合は送料を加味してもRSコンポーネンツなどがオススメです。

PHR-5とそれに使用する圧着端子については互換品を使用しました。これは、当初R2用に間違えてEHR-5を購入してしまい、PHシリーズのコネクタを探したところ安価な互換品を見つけたので購入した形です。可能な限りJST製の物を使用した方が良いとは思いますが、互換品も試してみたかったので(実際に使用してみたところ特に問題なく使用できました)。なお、91UG-Sのための裸圧着端子については用意していません。

ケーブルを自作する

何度か圧着に失敗しましたが、なんとか以下のようなケーブルを作ることができました。画像は91UG-SのためにEHR-4を使用したケーブルです。

ケーブルのまとめ方が雑なのは見逃してほしい。長さについては、私にはこの長さが必要だっただけなので、好きな長さにすれば良いと思います。

EHR-4及びシールド側は以下のような感じです。シールド代わりのワイヤー以外には元々のケーブルに取り付けられていたフェライトコアを一応付けておきました。効果のほどは分かりませんが、まあ無いよりはマシだと思っています。

シールド代わりのワイヤーは以下のようにネジで挟み込んで鉄板に固定しました。このようにすれば裸圧着端子は不要だと思います。

Type-Cメスのブレークアウトボード側は以下のような感じです。はんだ付けが雑なのは見逃してほしい。

シールド代わりのワイヤーは以下の情報を参考にしてType-Cメスのシャーシを固定している部分にはんだ付けしました。(被覆を剥きすぎてGNDのスルーホールに当たりそうになってるのは後から気づいて今は絶縁テープで対処してあります)

https://www.printables.com/model/344335-realforce-r2-pfu-detachable-cable-mod
https://old.reddit.com/r/MechanicalKeyboards/comments/zq998l/realforce_r2_pfu_detachable_usbc_cable_mod/
https://electronics.stackexchange.com/a/450763

自作ケーブルでType-C化

以下のような感じで背面にブレークアウトボードをくっつける形にしました。画像1枚目が91UG-S、2枚目がR2TLS-US3-BKです。R2TLS-US3-BKは「REALFORCE R2TLS-US3-BKにCherry MX互換キーキャップやdeskeysのガスケットを付けてみる」の記事で書いた方法でキーキャップを変えています。

このようにしたのは以下のような理由からです。

  • キーボードの右側にType-Cのポートが来る形にしたかった
  • REALFORCEのケースを削る、穴を開けるなどの加工はしたくなかった
  • 普段使いでキーボードを前から見た際にブレークアウトボードが目立たない形にしたかった

REALFORCE底面にはケーブルガイドとして溝がありますが、ケーブルガイドに自作ケーブルを這わせる形だと一番右側に持ってきた場合にケースの加工無しではブレークアウトボードの収まりがやや悪く、前から見た際に微妙にType-Cのポートが見える感じになってしまい、それが気に入らなかったのでケーブルガイドを活用して右側に持ってくるというのはやめました。

背面にくっつける形だと普段使いではあえて見下ろすような感じで見ない限りは以下の画像のようにワイヤーもブレークアウトボードも気にならないので、これで良しとしました。

くっつけ方としてはケースにはマスキングテープを貼り、ブレークアウトボードには絶縁テープを巻き付け、ケースとブレークアウトボードの間に両面テープを貼ってくっつけたという感じです。直に両面テープを貼ると剥がす際に面倒になる可能性があるので。

私は背面にくっつける形にしましたが、どこにType-Cのポートを持ってくるかやケースを加工するかしないかなどは個々人の考え方次第なので、今回私がやったのはあくまでも一例としてお考えください。

雑感

Type-C化によって今までよりも手軽に91UG-SとR2TLS-US3-BKを使用できるようになりました。普段はR2TLS-US3-BKを使用しているのですが、気分転換などで91UG-Sを使用することもあり、その際にケーブルの取り回しが面倒になることもあったので、Type-C化でかなり楽になりました。好きなType-Cケーブルが使用できるようになったというのも良いですね。

Type-Cメスのポートを持つケーブルを自作する必要はありますが、REALFORCEのケーブル周りで不満を抱えている人はType-C化にチャレンジしてみても良いかもしれませんね。

藤乃音りょう