REALFORCE R2TLS-US3-BKにCherry MX互換キーキャップやdeskeysのガスケットを付けてみる

2024年5月20日PC周辺機器chat_bubble0

REALFORCEは一部の例外(Cherry MX互換のキーキャップをサポートしたREALFORCE RGBやGX1)を除き東プレ軸が採用されています。東プレ軸にCherry MX互換のキーキャップを使うことは出来ず、キーキャップを変えたければ東プレ軸用のキーキャップを用意する必要があります。キーキャップは東プレからカラーキーキャップセットというのが販売されていますが、全体的に色がキツイしそもそも高いしで買う気がしません。

そこで、必要な物を揃えて個人的に気になっていたキーキャップをREALFORCE R2TLS-US3-BKに取り付けたのがこちら。

なかなか良い感じですね。東プレのカラーキーキャップ以外にも選択肢が出てくるって素晴らしいですね。後述しますが、スペースキーだけは訳あってR2TLS-US3-BKに元から付いてたキーキャップを使用しています。

この記事ではREALFORCEやHHKBといった東プレ軸採用のキーボードでCherry MX互換のキーキャップを使用するために必要な物の解説等をしていきます。
deskeysで静音リング、ドームガスケット、ハウジングガスケット、ランディングパッドも購入したのでついでにそれらについても軽く触れます。あとルブについても。

ちなみに上の画像で使っているキーキャップは以下。

Cherry MX互換キーキャップを使うために必要なもの

REALFORCEやHHKBでCherry MX互換のキーキャップを使用する場合、分解して軸(プランジャーやスライダーとも呼ばれる)の部分をCherry MX互換の物に変える必要があります。

プランジャーは1u用、2u用、スペースキーのスタビライザー用の3種があり、それそれ必要な個数はキーボードによって変わります。各プランジャーは独立しているので、キーキャップを変えたい場所の数だけプランジャーを用意すれば問題ありません。スペースキーの左右のスタビライザーに関しては、専用のハウジング(プランジャーのための穴が開いている箱型のパーツ)も必要です。スペースキーが2.5uの初代REALFORCEや日本語配列のHHKBの場合はスペースキーには2u用プランジャーのみが採用されているため、スタビライザー用のプランジャーやハウジングは不要です。

今回使用するR2TLS-US3-BKの場合、全87キーで、1u用が83個(スペースキーの中央含む)、2u用が4個、スペースキーのスタビライザー用が2個必要になります。

以前はAdapter-XやJTK MX Slidersといった1u用と2u用のプランジャーがセットになった商品が買えたのですが、2023年7月1日時点では販売が終了してしまっています。数的にはあれが理想のセットだったんですけどね。今現在プランジャーを揃えようと思うと、お金が掛かっても良いならdeskeysが一番オススメです。必要な物は全部揃いますし、質も良いので。

1u用に関してはAliExpressで安価に入手出来ます。私はYMDK Storeが販売している紫の奴を買いました。deskeysでは1u用は17個ずつしか買えず、値段は18ドルもするので、少しでも安く手に入れたいなら1u用に関してはAliExpressで良いと思います。

2u用、スペースキーのスタビライザー用、スタビライザーのハウジングに関してはdeskeysか、Shapeways、DMM.makeで入手可能です。基本的にはdeskeysで良いと思います。私は1u用のプランジャー以外はdeskeysで揃えました。後述しますが、deskeysで2uのプランジャーを購入する場合はバージョンに注意してください。

追記 2024/05/20
2uの場所に必要な物のセットとスペースキーの場所に必要な物のセットがAliExpressで購入できるようです。

YMDK Storeは日本のAmazonにも出品しているようで、1u用のプランジャーや2uの場所に必要な物のセットはAmazonでも購入できます。

後者は商品名に6uや6.25uの記載がありますが、2024年5月20日時点では日本のAmazonではスペースキーの場所に必要な物のセットは取り扱われていないようです。

ShapewaysとDMM.makeは3Dプリントサービスです。

Shapewaysではマーケットプレイスでプランジャーとスペースキーのハウジングを販売しているショップがあります。日本への送料が高いので、大量に買うのでなければdeskeysの方が安く済むと思います。

Shapewaysで販売している方はGitHubで3Dプリント用のデータを公開しているので、そのデータを使って3Dプリントサービスに発注することも可能です。日本ではDMM.makeが有名ですが、安い素材でもそれなりの価格になってしまいますし、選択肢としては弱いと思います。

2u用のハウジングについて

Cherry MX互換の2uのキーキャップは基本的に3つのステムが付いていると思いますが、REALFORCEやHHKBで使用する場合、元から付いているハウジングだとキーキャップの左右のステムがハウジングに当たってしまいます。

解決方法は以下の3つです。

  • キーキャップ側の左右のステムを取り除く
  • キーキャップに合うようにハウジングに穴を開ける
  • deskeysで左右に穴の空いた2u用のハウジングを買う

私はキーキャップもハウジングも加工したくなかったのでdeskeysで穴の空いたハウジングを買いました。プレートとハウジングが一体化しているHHKBの場合は1つ目か2つ目の方法を取る必要があります。

deskeysの2uのDES-Slidersについて

deskeysは各プランジャーをDES-Slidersという名前で販売していますが、2u用には旧バージョンと新バージョンの2種類があります。

プランジャー側にステムが1つしか無い方が旧バージョンです。
旧バージョンはステムの十字の方向が微妙にズレているようで、キーキャップが斜めになってしまう可能性があり、その場合はキーキャップを取り付けた後に手で捻ってキーキャップの方向を微調整する必要があるようです。ただその方法ではキーキャップ側のステムをダメにしてしまう可能性があり、その問題の解決を図ったのが新バージョンです。

新バージョンではステムの十字のズレが改善され、左右にステムが追加されました。
今も旧バージョンが販売されているのは左右のステムが無い旧バージョンを好むユーザーがいるから、というのをDiscordで書かれていました。新バージョンの左右のステムの必要性については言及されていませんでしたが、位置的にキーキャップのグラつき対策とか重量の調整とかそんなところだと思います。

旧バージョンは今も購入出来ますが、今から買うなら基本的には新バージョンで良いと思います。

ちなみに新バージョンは4個20ドルで、穴の空いた2u用ハウジングが4個28ドルですが、ハウジングの商品ページから2u assemblyというセットを選ぶと46ドルと、2ドルお得に買えます。

分解について

REALFORCEの分解に関しては以下が参考になります。

HHKBの分解とプランジャーの取り付けは以下の動画が参考になると思います。

Cherry MX互換キーキャップを付けてみた

記事の最初でも載せましたが。

スペースキーに関しては、キーキャップの相性の問題なのか底打ち音が目立ったため、元のキーキャップに戻しました。スペースキーの交換は他のキーキャップを購入した時にでも再挑戦しようと思います。

ちなみに各プランジャーやらを装着した鉄板はこんな感じです。

作業中に撮った写真なのでスペースキーの部分も交換してありますが、最終的にはその部分だけ元に戻してあります。2uの所とスペースキーのスタビライザーの所はプランジャーもハウジングもdeskeysの物です。スペースキーのスタビライザーに嵌っている黒い奴はDES-DOME-GASKETに付いていたスタビライザー用のスタブです。

プランジャーやハウジングの交換以外でやったこと

静音リングの取り付け

AliExpressでSilence-Xを、deskeysでDES Topre Silencing Ringsを購入しました。Silence-XはKBDfansの物がもう売っていないので同じ物なのかどうか分かりません。DES Topre Silencing Ringsは0.3mmを選びました。

まず静音リングを取り付けていない状態ですが、音がかなり気になりました。REALFORCEは静音モデルには静音リングが付けられているので、やはり静音リングは重要なのでしょう。

打鍵感に関しては、どちらの静音リングでもオリジナルの状態より良くなったように感じました。これは静音リングの種類や厚さの他にもプランジャーやキーキャップの違いも影響していそうです。オリジナルのプランジャーにSilence-XやDES Topre Silencing Ringsをという検証やCherry MX互換プランジャーにオリジナルの静音リングをという検証は、今回はしませんでした。オリジナルのプランジャーと静音リングはセットで保管しておきたかったのと、そもそも目的がキーキャップを変えることだったので。

オリジナルのR2TLS-US3-BKは、個人的には良く言えばスコスコという優しい打鍵感、悪く言えばかなり頼りない、押してる感覚の薄い、そんな打鍵感でした(とは言え45gのモデルは私には重く感じるのですが…)。荷重が同じ30gでかつ静音モデルな91UG-Sも持っていますが、91UG-Sの方が明らかに打鍵感は良いと思っていました。今回のプランジャー、静音リング、キーキャップの交換で打鍵感は91UG-Sに近づきました。ちゃんと押してる感覚があります。

追記 2024/05/17
この記事を書いて以降何度か91UG-Sを分解しましたが、91UG-Sも構造は同じでした。おそらく、91UG-Sのラバードームの劣化具合やプランジャーのカスレ具合などの状況が合わさって私好みの打鍵感を生み出していたのだと思われます。

音に関しては、どちらの静音リングも押下時の静音性は似ていましたが、Silence-Xははね返り時の静音性があまりありませんでした。DES Topre Silencing Ringsは0.3mmでもはね返り時の音の軽減効果が確認出来たので、静音リングはそちらを使うことにしました。

ただ、deskeysで購入した2uの新バージョンのプランジャーに関してはDES Topre Silencing Ringsはガバガバで、Silence-Xを使用する必要がありました。2uのキーだとSilence-Xでもはね返り時の音は気になりませんでした。

DES-DOME-GASKETの取り付け

deskeysはDES-DOME-GASKETという物を販売しています。静音リングを取り付けた場合に微妙にキーが押された状態になりその分ドームが圧縮されるので、ドームに専用のガスケットを噛ませることで圧縮されないようにする、という物です。

DES Topre Silencing Rings は0.3mmの物を選んだのでこちらも0.3mmの物を選びました。

打鍵感は、まず重くなったように感じました。また、メカニカルキーボードでキーキャップに静音リングを取り付けた時のようなゴム感が少し出ます。この辺りは使用する静音リングやドームガスケットの厚さなんかも関係してくると思いますが、私はゴム感はともかく重さに耐えられず最終的にはドームガスケットは外しました。重さに影響を与えるラバードームを変えるわけではないのですが、それでここまで重さに影響が出るとは思いませんでした。

ただ、あまり打鍵感に影響の無かったスペースキー用のスタブに関しては使用することにしました。上で載せた画像でも確認出来ると思いますが、スペースキー用のスタブというのはスタビライザーの下に配置するもので、ドームガスケットのパッケージに含まれますがスタビライザーにドームは無いのでハウジングに嵌めるようにして使用します。

音に関しては、ドームガスケットを付けた状態ではかなり静かになると感じました。
ドームガスケットで打鍵感と音のいいとこ取りというのはなかなか難しそうです。

ちなみに、2uのドームガスケット、スペースキーのスタビライザー用のスタブというのは、私の目にはDES Landing padsと同じ物のように見えます。ランディングパッドも買ったのですが、6ドル無駄にしたって思いましたね。

DES Housing Gasketの取り付け

deskeysはDES Housing Gasketという物を販売しています。鉄板とハウジングの間に噛ませる物なので、取り付けるにはハウジングを取り外す必要があります。

これは買って正解でした。プランジャーやキーキャップとの相性もありそうですが、静音効果がありつつ、打鍵感には全く影響を感じませんでした。静音性を求めるならこれを買ってみても良いと思います。

GPL 205 G0によるルブ

使用したのはAmazonで買ったこれです。

プランジャーの脚部分、ハウジング内のプランジャーが触れる部分、2u及びスペースキーのワイヤーをルブしました。ワイヤーのルブは静音化の効果がありましたが、それ以外は「多少滑らかになったか…?」程度でした。元のハウジングと購入したプランジャーの相性が良かったのかもしれません。

かすれが気になるとかワイヤー起因の音が気になるとかならルブは効果がありそうですが、それらが気にならないのであれば個人的には全キーに対して必ずしもやる必要は無いように感じました。必要だと感じる場合に必要な箇所にルブすればそれで良いように思います。

雑感

スペースキーだけは元に戻してしまいましたが、それ以外は気になっていたキーキャップに変えられたので満足度は高いです。お金は掛かりますが、REALFORCE RGBやGX1以外でもキーキャップが交換出来るようになるパーツが存在するというのはありがたいことですね。

今のところは荷重30gに満足しているので今回はラバードームの交換には手を出しませんでしたが、そのうちラバードームの交換による違いも体感してみたいですね。

追記 2023/07/18

この記事内で使用しているキーキャップでは一部のキーでキーキャップが鉄板に当たってしまい、音が気になるという問題があったため、キーキャップを変更しました。詳しくは以下の記事をご覧ください。

追記 2023/09/08

鉄板に当たることへの対策としてキースペーサーを使用してみました。それによりこの記事で紹介したCSAプロファイルのキーキャップでも音が気にならずに使用出来るようになりました。

藤乃音りょう